小坂家住宅(美濃市)概要: 小坂家住宅は岐阜県美濃市相生町に位置している古民家です。小坂家は屋号「杉本屋」を掲げた商家だった家柄で、古くから酒造業を生業としていました。酒造業は有力者しか許可されなかった事から小坂家も相当な家柄だったと思われます。
現在の主屋建物は最古の祈祷札が安永2年(1773)、墨書には安永元年(1772)、屋根瓦の箆書には明和9年(1772)の年号が見られる事から概ねこの頃に建築されたと推定されている建物で、木造2階建て、切妻、桟瓦葺、平入、桁行11.4m、梁間16.0m、屋根は上方の影響を受けた為かゆるいむくりがつき、両脇には高く掲げられた卯建が備えられています(建築当初は、三本卯建で屋根中央部分にも卯建がありましたが明治時代の改修で取り払われました)。
外壁は真壁造り、黒漆喰仕上げ、2階正面壁には火坊の神を祀り、大きな杉玉が吊り下げられています。
小坂家住宅の内部は1階の向って右側1/3は通り庭で土間が建物奥まで通っています。中央1/3は正面から「表みせ」、「中みせ」、「下みせ」、「なかのま」、「おかって」、向って左側1/3は正面から「みせざしき」、「なんど」、「ぶつま」となっています。
2階の向って右側1/3は正面から「男べや」、「たきものべや」、「吹き抜け」、中央1/3は正面から「男べや」、「吹き抜け」、「みはりのま(主人がこの部屋で奉公人の仕事ぶりを監督した)」、向って左側1/3は正面から「北のま」、「中のま」、「南のま」が配されています。又、ウダツ飾りには鬼瓦を採用されず、帳場の構え等から美濃町に残る町屋建築の中でも古式の形式を継承しています。
小坂家住宅は明治時代に改修されていますが、美濃地方に残る数少ない江戸時代に建てられた町屋建築の遺構として大変貴重な存在で昭和54年(1979)に国指定重要文化財に指定されています。
又、小坂家住宅は名称「美濃市美濃町重要伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている美濃町の良好な町並み景観に大きく寄与しています。
小坂家住宅:上空画像
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