安国寺(池田町)概要: 楊岐山安国寺は岐阜県揖斐郡池田町小寺に境内を構えている浄土宗の寺院です。安国寺の創建は暦応2年(1339)、足利尊氏・直義が夢窓疎石の薦めもあり全国に後醍醐天皇以下、南北朝の動乱で戦死した将兵の御霊を弔う為と北朝の権威を浸透させる為に建立したのが始まりと伝えられています。当安国寺では此山妙在禅師(円覚寺42世)を招いて開山、以降、周囲の中心的な寺院として寺運が隆盛し広大な寺領を有し、境内には七堂伽藍が軒を連ねました。歴代領主から庇護され明応4(1495)年には美濃国守護職土岐成頼が安国寺で剃髪し、天正11年(1583)には織田信雄(織田信長次男)の禁制などが行われました。
その後、度重なる兵火で堂宇が焼失し次第に寺運も衰退しましたが、寛文年間(1661〜1673年)に拙哉が堂宇を再建し境内の整備を行っています。又、当寺は稲葉家の祖となった稲葉塩塵(池田城主)の6男光朝(白雲)縁の寺でもあり、光朝の主君土岐頼芸が斎藤道三が滅ばされると、光朝は道三に報復する為、安国寺から毎夜岐阜城下に忍び込み1000人切りを行ったと伝えられ、境内には稲葉光朝の墓碑と伝わる五輪塔が建立されています。安国寺が所有している「織田信雄公御制札」は安国寺を保護する為に想定された三か条を記し、天正11年(1583)8月に発布されたもので当時の領内寺院制作が判る貴重な資料として貴重な事から池田町有形文化財に指定されています。
同じく安国寺が所有する「小寺村山割賦帳・先祖連判状」は江戸時代中期の宝暦4年(1754)に小寺村にあった里山の権利を明確に記ししたもので(村内の百姓39家で分割した)、その後の運営方法は誓紙血判証文もある貴重な資料である事から池田町有形文化財に指定されています。西美濃三十三霊場第15番札所(札所本尊:十一面観世音菩薩)。山号:楊岐山。宗派:浄土宗。本尊:十一面観音菩薩。
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