願興寺(御嵩町)概要: 大寺山願興寺は岐阜県御嵩町御嵩 に境内を構えている天台宗の寺院です。願興寺の創建は弘仁6年(815)、伝教大師最澄が巡錫の折この地を訪れ、自ら薬師如来像を彫り込み安置したのが始まりと伝えられています。正暦4年(993)、一条天皇の皇女(行智尼)が京を追われこの地に辿り着き正宝庵を設け修行に励んでいたところ、長徳2年(996)に一匹の大蛇が現れて周辺の住民に大変大きな厄災をもたらしました。行智尼は薬師如来に祈願したところ池から無数の小さな蟹が金色に輝く小さな薬師如来像を出現させ大蛇を退治しました。
この話を聞いた一条天皇は神意を悟り、勅願により願興寺に寺号を改称、境内には七堂伽藍の堂宇を建立し天皇勅願寺として篤く庇護しました。
以来、寺運は隆盛し「蟹薬師」として広く信仰を集めました。その後、天仁元年(1108)と元亀元年(1570)と兵火により焼失しますが歴代の領主によって庇護されその都度再建されています。
特に、当地方の地頭職であった纐纈源吾盛康、康能や土岐頼宗、頼康、玉置与次郎、市場左衛門太郎、森忠政などが願興寺に寺領の寄進や多くの仏像を奉納しています。江戸時代に入ると尾張藩から庇護され寺領100石が安堵されます。
長い歴史を伝える願興寺本堂
現在の願興寺本堂は天正9年(1581)に再建されたもので、木造平屋建て、入母屋、鉄板葺き、平入、桁行7間、梁間5間、正面一間向拝付き、多くの住民や職人が手掛けた事で「四周一間通り」という天台寺院と真宗寺院の混在したような独特な寺院建築が出来上がりました。
一説には本尊である薬師如来の御利益を四方から享受出来る為とも四方から本尊を拝むことが出来る為とも言われ当時の信仰の強さが窺われます。願興寺本堂は安土桃山時代に建てられた大型寺院本堂建築の遺構として大変貴重な事から昭和61年(1986)に国指定重要文化財に指定されています(2017年から本堂の解体修理工事が行われ、現在は修理後の姿となっています。)。
山門は入母屋、檜皮葺、一間一戸、四脚鐘楼門で岐阜県指定有形文化財に指定されています。
中部四十九薬師霊場第四十九札所。宗派:天台宗。本尊:薬師如来。
願興寺の文化財
・ 願興寺本堂−天正9年−国指定重要文化財
・ 木造薬師如来及び両脇侍像 −平安時代−国指定重要文化財
・ 木造阿弥陀如来立像−平安時代−国指定重要文化財
・ 木造阿弥陀如来坐像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 木造釈迦如来及び両脇侍像−鎌倉時代−国指定重要文化財
・ 木造四天王立像−平安時代−国指定重要文化財
・ 木造十二神将立像−平安時代−国指定重要文化財
・ 願興寺鐘楼門-享保11年-入母屋、檜皮葺-岐阜県指定文化財
・ 鰐口−天正年間−岐阜県指定重要文化財
・ 大般若波羅密多(経600巻)−岐阜県指定重要文化財
・ 御嵩薬師祭礼-長保元年の創始-岐阜県指定無形民俗文化財
願興寺:上空画像
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