伊奈波神社(岐阜市)概要: 伊奈波神社は岐阜県岐阜市伊奈波通りに鎮座している神社です。 伊奈波神社の創建は景行天皇14年(84)、武内宿禰が五十瓊敷入彦命(垂仁天皇の長男、この地の開拓神)の御霊を祀ったのが始まりとされます。伝承によると、五十瓊敷入彦命は勅命により、東国の蝦夷を討伐する大功を挙げましたが、陸奥守豊益が妬みにより嘘言を朝廷に申告した為に朝敵となり、当地で討たれた事から御霊を鎮める為に祭られるようになったと伝えられています。その後、壬申の乱(672年)の際、大海人皇子(後の天武天皇)が伊奈波神社で戦勝祈願を行い、念願成就すると厚見郡周辺を社領として寄進したとされます。
伊奈波神社は格式が高く、承和12年(845)に従五位下(続日本後紀)、貞観11年(869)に正五位下(三代実録)、元慶4年(880)に従四位下(三代実録)に列し岐阜の総産土神、美濃国三宮として歴代領主や住民から崇敬されました。
当初は稲葉山北西の椿原に鎮座していましたが天文8年(1539)、斎藤道三が稲葉城(岐阜城)築城の折、現在地に遷座、その際、この地にあった物部神社を合祀しています。
この物部神社は延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載されている式内社と見られています(諸説有)。明治6年(1873)に県社、昭和14年(1939)に国幣小社に列しています。祭神:五十瓊敷入彦命。配祀:渟熨斗媛命、日葉酢媛命、彦多都彦命、物部十千根命。
パワースポットと知られる伊奈波神社の参道
【 伊奈波神社の文化財 】−伊奈波神社は社宝が多く「太刀銘景依造」は鎌倉時代に制作されたもので、長さ77.3cm、反3.0強、元幅2.7cm、先幅1.5cm、備前景依の典型的な作品として大変貴重な事から昭和17年(1942)に国指定重要文化財に指定されています。
石造狛犬は天正4年(1576)に多和田新八直房が伊奈波神社に諸願成就の為に奉納したもので、像高:吽形31.0cm、阿形29.0cm、このような形式の狛犬は岐阜県内に少なく貴重な事から昭和47年(1972)に岐阜県指定重要文化財に指定されています。
獅子頭は慶長20年(1615)に伊奈波神社に奉納されたもので、岐阜出身の大工福竹宗左衛門作、高さ72.7cm、横52.1cm、墨書銘があり当時の信仰や制作の経緯が判る貴重な作品である事から昭和47年(1972)に岐阜県指定重要文化財に指定されています。
美濃国第三宮因幡社本縁起は伊奈波神社の由緒が記されている古文書で、制作された経緯が天平14年(742)に記されたものが紛失した為、延文4年(1359)に平野社から調達したものの破損した事から、文明4年(1472)に当時の美濃国守護代斉藤妙椿が世尊寺行高に依頼し書き改めたと明確で貴重な事から昭和47年(1972)に岐阜県指定重要文化財に指定されています。
伊奈波神社の例祭で用いられる安宅車(江戸時代末期、諏訪和四郎富昌作、車之町所属)、蛭子車(江戸時代、金屋町所属)、清影車(大正時代、湊町・玉井町・元浜町所属)、踊車の4台は岐阜市指定有形民俗文化財に指定されています。
スピリチュアルな雰囲気がある伊奈波神社の境内
【 伊奈波神社の社殿 】−伊奈波神社楼門は入母屋、銅板葺き、三間一戸、桁行3間、張間2間、八脚楼門、下層部正面左右には奉納された酒樽が安置されています。
伊奈波神社神門は切妻、銅板葺き、一間一戸、四脚門。拝殿は木造平屋建て、入母屋、檜皮葺き、平入、桁行5間、外壁は真壁造板張り。幣殿は木造平屋建て、入母屋、檜皮葺き、平入、桁行3間、張間2間、外壁は真壁造板張り。本殿は三間社入母屋造、檜皮葺き、平入。
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